クリニック経営・Web集患
低評価の口コミ、
削除できる?
できない場合の
正しい対応方法
「★1」を見つけた瞬間にやるべきこと・やってはいけないこと
ある朝、Googleマップを開いたら「★1」の通知が来ていた。本文を読むと、身に覚えのない内容、あるいは事実と少し違う内容。心臓がぎゅっと縮むような感覚を、経験したことがある院長は少なくないはずです。
先に結論をお伝えします。低評価の口コミは「条件付き」でしか削除できません。「不愉快だから」「事実と違う気がするから」という理由だけでは、Googleは削除してくれません。一方で、明確な削除対象になるケースもあります。まずその違いを正確に知ることが、最初の一歩です。
この記事では、削除できる口コミ・できない口コミの境界線、削除申請の具体的な手順、そして削除できない場合にクリニックとして取るべき正しい対応までを順番に解説します。
📋 この記事でわかること
① 低評価の口コミは削除できるのか——まず結論
② 削除できる口コミ・できない口コミの境界線
③ Googleへの削除申請、実際の手順
④ 削除されない場合に取るべき3つの対応
⑤ クリニックだからこそ注意したい「返信の落とし穴」
⑥ そもそも低評価を未然に防ぐためにできること
① 低評価の口コミは削除できるのか——まず結論
大前提として、クリニック側がGoogleマップの口コミを直接削除することはできません。できるのは「この口コミはおかしいです」とGoogleに報告(削除申請)することだけです。
削除されるかどうかを決めるのは「ポリシー違反かどうか」だけ
⚠️ 多くの院長が誤解しているポイント
「内容が事実と違うから削除されるはず」と思いがちですが、それだけでは削除されません。たとえ言いがかりのような内容でも、単なる個人の感想(「対応が悪かった」「待ち時間が長かった」など)はポリシー違反になりにくく、削除されないことがほとんどです。「腹が立つ口コミ=削除できる口コミ」ではないと、まず心構えとして知っておくことが大切です。
② 削除できる口コミ・できない口コミの境界線
境界線を一覧で整理します。自院の口コミがどちらに当たるか、まず確認してみてください。
✅ 削除申請が認められやすいケース
・スタッフの実名・住所・電話番号などの個人情報が書かれている
・差別的な表現や暴力的な言葉が含まれている
・来院した事実がない(一度も受診していない)と明らかにわかる内容
・関係のない宣伝や業者によるスパム投稿
・同一人物による複数回の投稿(嫌がらせ目的)
・他院・他者へのなりすまし投稿
❌ 削除されにくいケース
・「対応が悪い」「説明が不十分だった」といった主観的な感想
・星1つだけで本文がない投稿
・実際に来院した患者による、納得できない不満の記載
・スタッフの態度や院内の雰囲気に関する苦言(個人情報を含まない場合)
・「ここで治療を受けたが効果がなかった」という体験談
💡 「個人名」は削除対象になりにくい
「受付の◯◯さんの対応が最悪だった」のように、スタッフの実名(フルネームでない場合も多い)が書かれていても、それ自体は「個人情報」として扱われず削除対象にならないことが多いです。名指しされた感想であっても、内容が事実に基づく主観的評価であれば、Googleはポリシー違反と判断しないケースが目立ちます。
③ Googleへの削除申請、実際の手順
削除対象になりそうな口コミを見つけたら、以下の手順で申請します。スマホからでも数分でできます。
① Googleマップで自院のページを開き、該当の口コミを表示する
② 口コミ右上の「︙」(縦の三点リーダー)をタップ
③ 「クチコミを報告」または「不適切なクチコミとして報告」を選択
④ 該当する違反理由(スパム・ヘイトスピーチ・個人情報など)を選んで送信
💡 審査にかかる時間と結果の伝え方
申請後、Googleの審査には数日から2週間程度かかります。審査結果は基本的に通知されません。口コミが消えていれば削除された、残っていれば削除されなかったと判断するしかないのが現状です。3週間を過ぎても残っている場合は、削除されなかったと考えてよいでしょう。
④ 削除されない場合に取るべき3つの対応
削除申請をしても消えなかった——これは決して珍しいことではありません。その場合にクリニックが取るべき対応は3つです。
対応① 誠実に返信する
低評価そのものより、「クリニックがどう対応したか」を未来の患者さんは見ています。感情的にならず、状況の説明や改善への姿勢を簡潔に伝える返信を心がけましょう。丁寧な返信を見た投稿者本人が、後で評価を見直してくれることもあります。
対応② 実害が大きい場合は弁護士に相談する
名誉毀損や業務妨害に該当するレベルの内容で、経営に明確な実害が出ている場合は、発信者情報の開示請求や法的な削除請求という手段もあります。ただしこちらは数か月単位の時間と費用がかかるため、「実害の大きさ」と「かけるコスト」を見極めることが大切です。
対応③ 良い口コミを増やすことに力を入れる
低評価1件への対応に時間をかけすぎるより、満足度の高い患者さんから新しい口コミをいただく方が、結果的に評価全体への影響は大きくなります。星3.5〜4.0台のクリニックでも、新しい良い口コミが増え続けていれば、検索結果での印象は十分に保てます。
⑤ クリニックだからこそ注意したい「返信の落とし穴」
一般の店舗と違い、クリニックの口コミ返信には医療広告ガイドライン上の注意点があります。これは一般企業向けの口コミ対策記事では触れられていない、医療機関特有のリスクです。
なぜ口コミ返信に規制が関わるのか
厚生労働省が定める医療広告ガイドラインでは、治療の効果に関する患者の体験談を広告として扱うことを禁止しています。患者さんが自発的に書いた口コミ自体は規制対象になりませんが、クリニック側の返信内容によっては問題が生じる可能性があります。
⚠️ 避けたい返信表現の例
「当院の治療で必ず良くなりますので、ぜひまたお越しください」
→ 効果を保証するような表現は避ける
「他のクリニックより当院の方が技術力があります」
→ 他院と比較する表現(比較優良広告)は避ける
✅ 安全な返信の型
「ご指摘いただきありがとうございます。今後のスタッフ対応の改善に努めてまいります」のように、事実への感謝・改善への姿勢のみを伝える表現にとどめるのが安全です。治療効果や比較に関する表現は一切含めないことを徹底しましょう。
⑥ そもそも低評価を未然に防ぐためにできること
削除や返信は「起きてしまった後」の対応です。本質的に大切なのは、低評価がつきにくい状態を普段からつくっておくことです。
□ 待ち時間の見通しをスタッフが患者さんに伝える仕組みをつくる
□ 受付・会計時の説明を統一し、スタッフ間の対応差を減らす
□ クレームの芽(小さな不満)をその場で拾って対応する
□ 満足度の高い患者さんに、自然な形で口コミ投稿をお願いする機会をつくる
□ Googleビジネスプロフィールの情報(診療時間・休診日など)を常に最新に保つ
💡 口コミ依頼にも医療広告ガイドラインのルールがある
患者さんに口コミ投稿をお願いする際も、対価(金品やサービス)を渡す形での依頼は避ける必要があります。あくまで「もしよろしければ」という自然な声かけにとどめることが安全です。
まとめ
1
低評価の口コミは「不愉快だから」では削除されない。Googleのポリシー違反(個人情報・誹謗中傷・スパムなど)に該当する場合のみ削除対象になる
2
削除されない場合は「誠実な返信」と「良い口コミを増やす」ことに力を入れるのが最も効果的
3
クリニックの口コミ返信には医療広告ガイドライン上の注意点がある。効果の保証や他院との比較表現は避け、感謝と改善姿勢のみを伝える
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著者
大久保 直博
株式会社C&D Hub 代表取締役社長
クリニック・歯科医院への外部事務長サービスを展開。診療報酬改定への実務対応から採用・経営改善まで、院長の右腕として多くの医療機関を支援している。